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アピアランスケアがいま必要な理由②~私のサロンの役割~

「見た目を整えること」が、ただの美容ではなく、誰かの“生きる力”になることがあります。
治療の副作用で鏡を見るのがつらくなる日も、
誰かの手でそっと整えられることで、ふっと心が軽くなる瞬間がある。

前回の投稿では、アピアランスケアがいまなぜ必要なのか、社会的背景と制度的な後押しがあることを紹介しました

今回は私がアピアランスケアに出会った経緯や、なぜこの活動に強い想いを抱くようになったのか。看護師時代の経験と、現在のサロン「minu」で大切にしていることを通して、

アピアランスケアの本当の意味と、私にできることについて綴りました。
アピアランスケアがなぜ必要なのか

私は、看護師として大学病院の血液内科・乳腺甲状腺外科で、がん治療を受ける患者様をサポートしてきました。

命を守るという医療の最前線では、どうしても心や外見の変化にゆっくり向き合う時間がとれないこともありました。そのたびに、もっと何かできることがあるのではないかと模索し続けてきました。

そんな中で出会ったのが「アピアランスケア」と「岩井式メイクセラピー」です。

治療の副作用によって、髪や眉毛が抜けたり、肌が敏感になったりする。
そんな外見の変化は、患者様にとって「見た目」の問題だけではありません。
自分らしさを失ったように感じたり、人と会うのが怖くなったり、深く心に影を落とすことがあります。

私自身、がん治療を経験したことはありません
でも、
病気の治療や副作用によって、
鏡を見るのがつらくなる日があると思うのです。

そんなとき、誰かの手で
「やさしく整えられる」「気持ちが軽くなる」
そんなケアが心の支えになることがあると、私は信じています。

社会全体がアピアランスケアを必要としている背景

このような想いは、私個人の経験だけではありません。
近年、医療や行政の分野でも、アピアランスケアの重要性が明確に示されています。

外見の変化がもたらす心理的・社会的影響
2015年に実施された研究では、がん治療による外見の変化が、患者の心理や社会生活に大きな影響を与えることが明らかになっています。「外見が変わったことで、がんだと知られたくない」「かわいそうだと思われたくない」という思いから、人と会うことや外出を控える傾向が見られたと報告されています。

患者の「相談したいのにできない」現実
厚生労働省が2018年に実施した調査でも、がん治療による外見の変化について「相談できた」と答えたのはわずか25.8%。一方で「相談したかったができなかった」という人も多く、アピアランスに関する支援の場や制度の不足が課題とされています。

現場での支援体制が求められている
アピアランスケアは単なる美容的なケアではありません。身体的・心理的・社会的な影響に対応する包括的な支援と位置づけられ、医療現場でも体制の整備や専門家の育成が進められています。

国の取り組みとminuの役割

厚生労働省は、がん患者の生活の質の向上と、治療と仕事や学業の両立を支えるために、
以下のような取り組みを進めています。

  • 医療機関でのアピアランスケア提供体制の整備

  • 医療者への研修制度の導入と認知度の向上

  • 外見による不安を和らげ、社会復帰や自分らしい生活を支える環境づくり

このような社会的な流れの中で、私のサロン「minu」では
病院外で安心して相談できる場所として活動をしていきたいと思っています。

病院内では聞けなかったこと、聞きそびれてしまったことも
家族や友人には言えない想い..
辛い・悲しい・悔しい
いろんな感情を吐き出して軽くなってほしいし、
外見ケアについて、わからない事は聞ける場所となりたい。

そして、

minuでは、「肌や外見のケアを通して、心をほぐす」ことを大切にしています。
治療中の方も、日々をがんばる方も、自分自身を大切にしてもらえる時間を過ごしていただけるよう、看護師としての経験と専門的な技術でサポートしています。